とっちゃん@nyanco! です。
今回は日常的に使っているけど仕組みは良く知らない「クレジットカードの裏側」を支える「国際ブランド・イシュアー・アクワイアラー」について調べてみたよというお話です。
筆者イチオシWeb3プロジェクト「SyFu(サイフ)」のAMAで知った、知られざるクレジットカードの奥深き裏側を個人的に調べてまとめてみたので共有します。
なかなか複雑な世界だけど、図解も合わせて分かりやすく解説していきますにゃ〜!
SyFuをプレイする上で知っておくとプラスになるかも?ですにゃ〜
そもそも「クレジットカードの会社」とは?
VISA = クレジットカード会社ではない
クレカといえばVISAとかJCBのイメージだけど、それってクレカ会社の名前なんですかにゃ?
筆者も調べるまではまさにこのイメージでしたが、残念ながら違います。
あら、違うんですかにゃ〜
ではVISAとかは一体なんなんですかにゃ〜
それを理解するために、まずはクレジットカードに関わる登場人物を整理していきましょう。
クレジットカードの登場人物たち
クレジットカードの世界にはざっくり次のような「登場人物(プレイヤー)」がいます。
プレイヤー名 | 役割 |
---|---|
国際ブランド | VISA・Mastercard・JCBなど。決済の“ルール”と“ネットワーク”を提供してる会社 |
イシュアー | クレジットカードを発行してくれる銀行や会社。例:三井住友カード・楽天カード・独自カードを発行している企業など |
アクワイアラー | お店がクレジット決済を使えるようにしてくれる会社。お店側の契約相手 |
店舗 | ユーザーが利用するお店。コンビニ、スーパーなど |
ユーザー | カードで支払いする人。つまりは私達 |
▼ざっくりな関連図はこんな感じ(関係性などはこの後追記していきます)。

店舗やユーザーは分かるけど、他の3つはなんですかにゃ〜?
特にイシュアーやらアクワイアラーは初めて見ましたにゃ〜
恐らく初耳な人が多いと思われるこの「イシュアー」「アクワイアラー」になんとなくイメージは付きそうな「国際ブランド」を加えた3つがクレジットカードのメインプレイヤーとなります。
以下、このメインプレイヤーについての概要を分かりやすく解説していきます。
「国際ブランド」について
まずはクレジットカードの大元と言える「国際ブランド」から。
いわゆるVISAとかJCBなどクレジットカード表面に大きく書かれているお馴染みの名称はこの「国際ブランド」となります。
▼主な国際ブランド一覧は以下の通り。
国際ブランド名 | 運営企業 | 本拠地 | 補足情報(特徴など) |
---|---|---|---|
VISA(ビザ) | Visa Inc. | 🇺🇸 アメリカ | 世界最大級のブランド。直接カードは発行せず、提携銀行が発行 |
Mastercard(マスターカード) | Mastercard Inc. | 🇺🇸 アメリカ | Visaと並ぶ2大ブランド。世界中で幅広く利用可能 |
JCB(ジェーシービー) | 株式会社ジェーシービー(JCB Co., Ltd.) | 🇯🇵 日本(東京) | 日本唯一の国際ブランド。国内加盟店に強み |
American Express(アメリカン・エキスプレス) | American Express Company | 🇺🇸 アメリカ | 高級カードとしてのブランド力が強く、発行・アクワイアリングも自社で実施 |
Diners Club(ダイナースクラブ) | Discover Financial Services(現運営会社) | 🇺🇸 アメリカ | 世界初のクレジットカード。高額決済向け。現在はDiscover傘下 |
Discover(ディスカバー) | Discover Financial Services | 🇺🇸 アメリカ | 米国内中心のブランドだが、JCBなどと相互接続で日本でも利用可能 |
UnionPay(銀聯カード) | 中国銀聯(China UnionPay) | 🇨🇳 中国(上海) | 中国国内でのシェアは圧倒的。観光客向けに日本の店舗でも導入が進む。 |
VISA、Mastercard…
良く聞くし良く見る名前ばかりですにゃ〜
これらは良く店のレジなどで使えるクレジットカード一覧としてロゴが表示されているので馴染みがあるはずです。
ちなみにこのVISAとかが直接カードを発行してるわけじゃないってことなんですにゃ?
基本はその通りで、「国際ブランド」は決済のネットワークとルールを提供するという役割となり、カードを発行するのは次に解説する「イシュアー」と呼ばれるプレイヤーになります。

厳密には国際ブランド自体がカードを自社発行する「プロパーカード型」という形もありますが、本記事では分かりやすさ優先で割愛します。
「イシュアー」について
そもそも「イシュアー:issuer」とは「発行者・発行人」という意味の英単語で、プレイヤーの役割としても「カード発行者」とほぼそのままの意味となります。
「イシュアー」は「国際ブランド」と契約をしてブランドライセンスを取得、一方で「ユーザー」とも契約をしてカードを発行するという関係性になります。

主なイシュアー一覧といきたいところですが、国際ブランドとは違ってイシュアーは数が多すぎるので種類別一覧としました。
種類 | 具体例 | 補足 |
---|---|---|
🏦 銀行系 | 三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行など | 「銀行カード」などとして自社の顧客向けに発行 |
🧾 信販会社系 | オリコ、セゾン、ジャックス、UC、ライフカードなど | カードローンやショッピングクレジットなども手がける |
🏢 企業系 | イオン(イオンカード)、楽天(楽天カード)、エポスカード(丸井)など | 流通系・EC系・百貨店系など、企業が自社ブランドで発行 |
✈️ 航空会社系 | ANAカード、JALカードなど | 提携発行でマイルが貯まるカードとして人気 |
📱 通信・IT系 | PayPayカード(旧Yahoo! JAPANカード)、LINEクレカなど | スマホ決済との連携重視 |
これまた見覚えのある名前ばかりですにゃ〜
イシュアーはそんなに数が多いんですかにゃ?
クレジットカードのメインプレイヤーの中で圧倒的に数が多いのはこの「イシュアー」となります。
また、取得できるユーザーデータ(カード会員の利用明細や購買履歴など)や収入源が多く一番旨味のあるポジションとも言えます。
にゃるほど、それでいうと特に「企業系」のイシュアーがめちゃ多い気がしますにゃ〜
家電量販店で買い物したらクレカ作るの勧められたりしますしにゃ〜
大手企業が展開する店舗で買い物すると割引とセットでクレジットカード作りませんか?と言われたりするので企業系が多いように感じますが、実はその企業がイシュアーではなく「オリコ」「セゾン」「UC」などの「信販会社系」がイシュアーであることがほとんどです(信販会社も企業といえば企業ですが、ここでは一般企業と分けて考えています)。
「独自のクレジットカードを発行したいけどできない」企業が信販会社と提携して表向き”企業名義”の独自カードを発行してもらっているというのが実体ですね。
カード表面に企業名とは別に「Orico Card(オリコカード)」や「SAISON CARD」、「UC」などの文字が表記されていればその類となります。
確かに!手持ちのクレカを見てみたら「UC」と大きめに書かれてましたにゃ〜
でもなんで自社でイシュアーにならないんですかにゃ?
大手企業なのになぜ旨味の多いイシュアーにならないのか?と素朴な疑問が浮かびますが、シンプルに参入障壁の高さ(コスト・専門的ノウハウ・リスク・金融庁の規制など)が最大の理由となります。
にゃるほど、金融業界への参入は大手企業と言えどハードルが高いというワケですにゃ〜
ちなみにイシュアーほどの旨味はないけどそれでも独自カードを発行する企業が多いのは、以下のようなメリットがあるからです。
- 自社ポイントプログラムとの連携強化
- カード会員限定の優待・特典による集客力向上
- 分割払い・リボ払いなど多様な決済手段の提供で高額商品の購入促進が可能
- 自社でイシュアー業務を担わずにカードビジネス参入
- 顧客データの取得・活用(限定的)
- 国際ブランドと提携することによるブランドイメージの向上・認知拡大
企業側としてはメリットが多いので独自カードを発行してユーザーに使って欲しいわけですが、ユーザー側からすると何枚もクレジットカードを持つことは管理も大変だしリスクも伴うので、個人個人でしっかり判断していくしかないというのが現状です。
「アクワイアラー」について
3番目のプレイヤー、読むのも書くのも難しい「アクワイアラー」とはなんぞやですかにゃ〜?
「アクワイアラー:Acquirer」とはそもそも「得る者・獲得する者」といった意味の英語で、クレジットカード解説の文脈では「加盟店契約(管理)会社」となり、主な役割は以下の通りです。
- 「国際ブランド」と契約し、ブランドライセンスを取得
- 「店舗」と契約し、クレジットカード決済を導入・管理
- 「店舗」に対してカード決済端末の提供や決済システムの導入サポート
▼図で表すとこんな感じ。イシュアーのユーザーが店舗に変わったイメージですね。

にゃるほど!
つまりコンビニなどの「店舗」がクレカ決済を導入したい時の契約先がアクワイアラーということですかにゃ?
ズバリその通りで、クレジットカード決済を導入したいスーパーやコンビニなどはアクワイアラーと契約し、カード決済端末の設置や決済システムを導入をすることで、対応する国際ブランドのクレジット決済ができるようになります。
また、イシュアーとアクワイアラーの関係性もあります。
両者は直接の契約関係ではないですが、国際ブランドのネットワークを介して決済情報や資金のやり取りを間接的に行う重要な役割を担っています。

日本の主要アクワイアラー一覧は以下の通り。
アクワイアラー名 | 特徴・背景 |
---|---|
三井住友カード | 加盟店数トップクラス。VISAブランド強い。 |
三菱UFJニコス(MUFG) | DC/UFJ/NICOSブランドの加盟店を持つ。 |
クレディセゾン | 自社でカード発行・加盟店開拓両方やるモデル。 |
JCB | 国際ブランドとしても、アクワイアラーとしても機能。 |
トヨタファイナンス | トヨタグループ向けが中心だが一般加盟店も多い。 |
楽天カード | 楽天ペイに連携、ECや中小店舗向けの加盟店展開が強い。 |
GMOペイメントゲートウェイ | EC・ネット決済特化。アクワイアラー機能もあり。 |
りそなカード/オリコなど | 地銀系、信販系と提携して加盟店展開。 |
あら、イシュアーでも見た企業名があるような…
JCBは確か国際ブランドでしたにゃ〜
その通りで、イシュアー(発行)とアクワイアラー(加盟店管理)の両方を兼ねている企業や、JCBのように国際ブランドでありながらアクワイアラー機能を持っているといったケースもあります。
ただややこしいので、とりあえずアクワイアラーとは店舗と契約しクレジットカード決済機能を提供して管理する&イシュアーと決済データ・資金のやり取りをする役割のプレイヤーという認識でOKかと。
以上で一通りメインプレイヤーの解説が終わったので、最後に一番身近な店舗とユーザーの関係性を追加してまとめると以下のようになります。

なんとなくだけど、それぞれの役割と関係性が分かってきましたにゃ〜
「決済代行サービス」について
ちょっとだけ脱線。
細かい話でいうと、アクワイアラーごとに「対応している国際ブランド」が異なることから、全ての国際ブランドの決済に対応しようとすると複数のアクワイアラーと契約する必要があります。
あら、1つのアクワイアラーと契約するだけで全部のクレカが使えるわけじゃないんですにゃ〜
複数と契約って管理がめんどくさそうですにゃ〜
そこで登場したのが「Airペイ(エアペイ)」「Square(スクエア)」「stera(ステラ)」などの「決済代行サービス」と呼ばれるサービスです。
「決済代行サービス」を提供する「決済代行会社」は、「プロセッサ(ペイメントプロセッサー)」と呼ばれたりもします。
この「決済代行サービス」は1社と契約するだけで主要国際ブランド(Visa, Mastercard, JCB, Amex, Dinersなど)の決済に一括対応できるという、特に小規模店舗に人気のサービスとなっています。
Airペイ、聞いたことありますにゃ!
この決済代行サービスはアクワイアラーになるんですかにゃ?
役割的に勘違いしてしまいそうになりますが、決済代行サービスはアクワイアラーではなく、店舗とアクワイアラーの間に位置する新たなプレイヤーとなります。決済代行サービスが複数のアクワイアラーと契約をしているので、店舗は決済代行サービスの会社1社と契約するだけで間接的に複数のアクワイアラーと契約できるイメージですね。

不便なところに代行サービスあり!といったところですにゃ〜
カードで買い物した時の具体的な処理やお金の流れ
各プレイヤーごとの処理の流れ
各プレイヤーの役割が分かったところで、最後によりイメージがしやすいように買い物をした時の具体的な処理の流れを解説していきます。
たとえば、ユーザーがコンビニ(店舗)でクレジットカードを使って1,000円の買い物をしたとします。
各プレイヤーごとの処理や流れは以下の通り。
- ユーザーがレジでカードを出し、店舗はカード決済端末でカード情報を読み取る
- 読み取った情報がアクワイアラーに届く
- 読み取った情報はさらにアクワイアラーから国際ブランドのネットワーク経由でイシュアーに届く
- イシュアーが「この人は1,000円の支払い能力があるか」という与信審査を即時に行い承認(または否認)の情報を出す
- 承認(または否認)の情報が逆のルートで店舗に届く
- 承認の情報が届いたら店舗は商品をユーザーに提供する

クレカ払いの端末にカードを読み取ってる時、裏では数秒でこんなことが行われてるんですにゃ〜
シンプルにすごいですにゃ〜!
こんな複数のプレイヤー間の情報のやり取りがあの一瞬で行われているなんてマジですごいですよね!
各プレイヤーごとのお金の流れ
続いてお金の流れですが、手数料が絡んでくるのでさらに複雑になってます。
- ユーザーが店舗で1,000円の商品をカードで購入
- 店舗がアクワイアラーに売上データ(1,000円分)を報告
- アクワイアラーが店舗に手数料30円を差し引いた970円を立て替えて支払う ※加盟店手数料が3%の場合
- アクワイアラーが国際ブランドネットワーク経由でイシュアーに1,000円請求
- イシュアーが国際ブランドネットワーク経由でアクワイアラーにインターチェンジフィー(ブランド手数料やイシュアー手数料)15円を差し引いた985円を支払う ※インターチェンジフィーが1.5%の場合 ※インターチェンジフィーはイシュアー側が徴収する手数料
- イシュアーはユーザーから1,000円を回収
- イシュアーとアクワイアラーはそれぞれ国際ブランドへブランドフィー(ネットワーク利用料や事務手数料)3円を支払う ※ブランドフィーが0.3%の場合

これはめちゃめちゃ複雑ですにゃ〜
細かい手数料を端折って大きなお金の流れだけをざっくり要約すると、初めにお金を立て替えてるのはアクワイアラーでその後イシュアーに請求して精算、イシュアーはさらにユーザーに請求して精算という流れですね。
ちなみに各プレイヤーの利益でいうと以下となります(人件費などは無視しています)。
- 店舗:利益970円(商品代金1,000円 − 加盟店手数料30円)
- アクワイアラー:利益12円(加盟店手数料30円 − インターチェンジフィー15円 − ブランドフィー3円)
- イシュアー:利益12円(インターチェンジフィー15円 − ブランドフィー3円)
- 国際ブランド:利益6円

商品代金1,000円から差し引かれた加盟店手数料30円を国際ブランド、イシュアー、アクワイアラーの3者で分配しているという感じですね。
こう見ると、メインプレイヤーたちの利益は微々たる額なんですにゃ〜
1件の取引で見るとそんな印象を受けますが、実際には取扱い件数が膨大なので「利益が微々たるもの」どころか世界的にも高収益な業界の一つと言えるのがクレジットカード業界となります。
にゃるほど、1件1件の利益は少ないけど取引数が多いから成り立つ典型的な「薄利多売」モデルというわけですにゃ〜
以上が、クレジットカード業界の知られざる裏側解説となります。
今回もとっても勉強になりましたにゃ〜
これからはクレカで買い物する時、カードの向こう側に思いを馳せますにゃ〜
おわりに
最後に…クレジットカードの仕組みはなんとなく理解できたけど、そもそもなんでこんなに複数が絡む複雑なシステムになってるんですかにゃ〜?
ズバリその理由はリスク分散・役割分担・安全性などのためであり、1者だけでやると大きなリスクや負担が集中するからです。
にゃるほど、そういう理由なんですにゃ〜
ただ、もうちょいシンプルにしても良さそうな気もしますがにゃ〜
個人的には、国際ブランドが構築しているネットワークの仕組みにも興味があるので気が向いたら記事にするかも知れません。
本記事がどなたかの参考になれば幸いです。
今回は以上となります。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました!
それではまた〜✧٩(ˊωˋ*)و✧
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