とっちゃん@nyanco! です。
今回はWeb3トレンドの1つである「DePIN(ディーピン)」について調べてみたので分かりやすく解説するよというお話です。
何やら難しそうなイメージのDePINだけど、具体例を知ると理解しやすくなりますにゃ〜!
「DePIN」について
「DePIN」の定義
まずそもそも「DePIN」とは「Decentralized Physical Infrastructure Network」の略で、日本語に訳すと「分散型の物理的なインフラ(基盤)のネットワーク」という意味になります。
…日本語にするとめちゃ長いですけど、具体的に言うと何ですかにゃ~?
簡単に言うと、みんなが持っているスマホやパソコン・センサーなどの機器を使って、大企業に頼らずに個人もしくはコミュニティで何かしらのサービスを提供する仕組みのことですね。
うーん、個人が持ってるデバイスで何かするって感じですかにゃ?
身近な具体例は何かないですかにゃ〜?
例えばシェアリングエコノミーの代表的なサービスである、Uber(ウーバー)は「車」を持っている人が「移動サービス」を提供し、Airbnb(エアビーエヌビー)は「空き部屋」を持っている人が「宿泊サービス」を提供しています。
DePINはその発展形で、ブロックチェーン技術を使って中間業者をなくし、分散的に管理をするという仕組みになっています。
にゃるほど!
ではUberやAirbnbもDePINなんですかにゃ〜?
例に挙げておいてアレなんですが、UberやAirbnbはDePINとは別物となります。
あら、違うんですかにゃ〜
個人の物理的リソースを活用するといった点などではDePINと近い部分もあるのですが、決定的に違うのはUberやAirbnbなどは「中央集権的である」ことと「ブロックチェーンを活用していない」という点です。
確かに!
UberもAirbnbもバリバリ大企業が運営してますにゃ〜
分散型リソースを活用している分かりやすい身近なサービス例としてUberを挙げましたが、例えばUberが非中央集権型運営になってブロックチェーンを活用するようになればDePINの定義に当てはまるようになると言えそうです。
DePINを定義づける特徴は、大きく分けて以下の5つとなってます。
- 分散型運営:一つの会社や組織が管理するのではなく、参加者全員で分散的に運営管理されている。
- ブロックチェーンの活用:トランザクションの透明性、データ改ざん防止、インセンティブ分配のためにブロックチェーンを使用。
- 物理的リソースの活用:現実世界のリソース(例:スマートフォン、車、センサー、通信網)がネットワークに貢献している。
- トークン報酬:参加者は貢献に応じてトークン(暗号資産)で報酬を得られる。
- ユーザー主権と透明性:データや資産の管理がユーザー側に委ねられ、中央主体による独占が排除されている。
DePIN版「Uber」「Airbnb」は既に存在する
実はUberやAirbnbのようなモデルを分散型で再現しようとするプロジェクトは既に存在しています。
【ライドシェア(UberのDePIN版)】
Teleport(テレポート): ブロックチェーンを活用した分散型ライドシェアプラットフォーム。運転手がトークンで報酬を得て、中央管理を最小化。
【宿泊シェア(AirbnbのDePIN版)】
Dtravel(ディトラベル): ブロックチェーンを使った分散型宿泊予約プラットフォーム。ホストとゲストがトークンで直接取引し、手数料を低減。
【モビリティ全般】
peaq(ピーク): 車両やモビリティデバイス(EV、ロボットなど)をDePINとして管理。Uberのようなライドシェアだけでなく、車両データの共有や充電インフラにも応用可能。
Hivemapper(ハイブマッパー): ドライブレコーダーデータを収集し、分散型マッピングを提供。Uberの車両データ活用の側面に近い。
「DePIN」のカテゴリ
DePINは扱うリソースなどによって、以下のように多様なカテゴリーに分けることができます。
- デバイス管理/モビリティ
- コンピューティング
- 通信
- ストレージ
- マッピング/データ収集
- エネルギー
- センサー/IoT
- ヘルスケア/ウェアラブル
- 決済データ/経済貢献
めちゃたくさんありますにゃ〜!
ただ、通信やデータ、エネルギーなんかは「物理的」でないと思うんですがその辺どうなんですかにゃ?
パッと見るとそう感じるかもですが、いずれも以下のように物理的なインフラと密接に関連していることからDePINとされているようです。
- 通信: 通信ネットワーク(例: 5G)は物理的な基地局やデータセンターが必要
- エネルギー: エネルギーは物理的な発電設備や配電網を基盤としている
- データ: データストレージや処理は物理的なサーバーやハードウェアに依存している
確かに、物理インフラなくしては存在できないですにゃ〜
代表的なプロジェクト
以下、各カテゴリーごとの代表的なプロジェクトをサラッとご紹介します。
1. デバイス管理/モビリティ(Device Management/Mobility)
概要: IoTデバイス、車両、ロボットなどの管理を分散化。デバイス間のデータ共有やトークン化された資産(RWA)の活用に焦点。
特徴: リアルタイムデータ処理、デバイスID、モビリティ特化。
代表的なプロジェクト:
・peaq:DePIN特化のL1ブロックチェーン。車両、センサー、ロボットの管理に最適化。peaq IDでデバイスを識別。
・IOTA:手数料ゼロのトランザクションでIoTデバイスを管理。Tangle技術を使用。
・Teleport:分散型ライドシェアプラットフォーム。運転手がトークンで報酬を得る。
・DIMO:車両データをトークン化し、ドライバーがデータ共有で報酬を得る。自動車産業に特化。
2. コンピューティング(Compute)
概要: 計算リソース(GPU、CPU)を分散型で提供。AIトレーニング、動画レンダリング、科学研究などに活用。
特徴: 高性能計算の民主化、トークン報酬、スケーラブルなリソース共有。
代表的なプロジェクト:
・Render Network:分散型GPUレンダリング。クリエイターが余剰GPUを提供し、RNDRトークンで報酬。
・Golem:分散型コンピューティング市場。ユーザーがCPU/GPUを貸し出し、報酬を得る。
・Grass:未使用のインターネット帯域幅を活用。ユーザーは帯域を提供することでGrassトークンを得る。
3. 通信(Connectivity/Networking)
概要: 無線ネットワーク(Wi-Fi、5G、LoRaWANなど)を分散型で構築・運用。個人が通信帯域を提供し、ネットワークのカバレッジを拡大。
特徴: 低コスト接続、トークンインセンティブ、地域密着型のカバレッジ。
代表的なプロジェクト:
Helium:分散型無線ネットワーク(LoRaWAN、5G)。ユーザーはホットスポットを設置し、HNTトークンで報酬。
Nodle:スマートフォンを活用したBluetoothベースのネットワーク。低消費電力のIoT接続に特化。
WiFi Map:ユーザーがWi-Fiホットスポットを共有し、トークン報酬を得る。グローバルなWi-Fiアクセスを提供。
Polkadot’s Frequency:分散型ソーシャルネットワークと通信インフラ。プライバシー重視のデータ共有。
4 ストレージ(Storage)
概要: クラウドストレージを分散化し、個人が余剰ストレージを提供。中央集権的なデータセンター(AWS、Google Cloudなど)に代わり、プライバシーとコスト効率を向上。
特徴: データの暗号化、トークン報酬、分散型ファイル管理。
代表的なプロジェクト:
・Filecoin:世界最大の分散型ストレージネットワーク。ユーザーはストレージを提供し、FILトークンで報酬を得る。
・Arweave:永久保存を重視したストレージソリューション。「ペーマウェブ」でデータを一度アップロードすると永続的に保存。
・Storj:エンタープライズ向けに最適化された分散型クラウドストレージ。暗号化と低コストが強み。
・Sia:低コストのストレージ提供に特化。プライバシー重視の設計で個人・中小企業向けストレージ。
5. マッピング/データ収集(Mapping/Data Collection)
概要: 騒音データ、地理情報、環境データなどのリアルタイムデータの収集を分散化。スマートフォンや車両のセンサーでデータを提供。
特徴: ユーザー主導のデータ生成、トークンインセンティブ、プライバシー保護。
代表的なプロジェクト:
・Silencio:スマートフォンで騒音計測をしたデータを収集。
・SyFu:スマートフォンから決済データを収集。GameFi要素もある。
・Hivemapper:分散型地図作成。スマートフォンやドライブレコーダーで道路映像を収集し、HONEYトークンで報酬。
・Geodnet:高精度GPSデータを分散型で収集。衛星やスマートフォンを使用。
・Foam:分散型位置情報ネットワーク。空間データの検証とトークン化。
6. エネルギー(Energy)
概要: 電力や再生可能エネルギーの生成・取引を分散化。個人がソーラーパネルやバッテリーを提供。
特徴: P2Pエネルギー取引、トークン化されたエネルギー資産、持続可能性。
代表的なプロジェクト:
・Powerledger:分散型エネルギー取引プラットフォーム。ソーラー電力をトークンで売買。
・Energy Web Foundation:ブロックチェーンでエネルギー市場を最適化。グリーンエネルギー認証に特化。
・SunContract:P2P電力取引プラットフォーム。個人間で電力を直接売買。
7. センサー/IoT(Sensor/IoT)
概要: 環境センサーやIoTデバイスを活用し、データ収集・共有を分散化。スマートシティや農業に応用。
特徴: リアルタイムデータ、デバイス間通信、トークン報酬。
代表的なプロジェクト:
・Robonomics:ロボットやセンサーをブロックチェーンで管理。自動化とデータ共有に特化。
・Streamr:リアルタイムデータの分散型マーケットプレイス。センサーやアプリからデータ提供。
・PlanetWatch:大気質センサーで環境データを収集。ユーザーがデータ提供でトークン獲得。
8. ヘルスケア/ウェアラブル(Healthcare/Wearables)
概要: ウェアラブルデバイスや健康データを分散型で管理。ユーザーがデータ提供で報酬を得る。
特徴: プライバシー保護、データ主権、トークンインセンティブ。
代表的なプロジェクト:
・TUUMIO(旧:Solve.Care):ブロックチェーンでヘルスケアデータとサービスを管理。患者データの分散化。
・HealthBlocks:ウェアラブルデバイスで健康データを共有。ユーザーがデータ提供でトークン報酬。
・Dentacoin:歯科ケアに特化したデータ共有プラットフォーム。患者データでトークン報酬。
DePINプロジェクト、めちゃくちゃあるんですにゃーー!
気になるのも結構ありますにゃ〜
ぶっちゃけ紹介したのはこれでも一部で、DePINのポータルサイト的な以下ページを見る限り、かなりの数のプロジェクトが立ち上がって実際に稼働しているようです。


DePIN、ブロックチェーンならではの概念なのでこれからより盛り上がっていきそうな気がしますにゃ〜
スマートフォンがDePIN拡大に与える影響
スマートフォンは、計算能力・センサー・インターネット常時接続性を備えた高性能ポータブルデバイスであり、個人がDePINに参加するための「ゲートウェイ」として機能します。
DePINが拡がっているのはスマホという高性能デバイスを誰もが持つようになったことが大きいと言えそうですにゃ〜!
スマートフォンの普及がDePINの成長を後押ししているポイントは以下の通りです。
1. 高性能デバイスの民主化
- 計算能力:
- 現代のスマートフォン(2025年時点)は、強力なCPU/GPU、十分なRAM/ストレージを搭載し、ブロックチェーンの軽量ノードやウォレットの実行、データの処理が可能な性能を持つ。
- 例:スマートフォンでトークンウォレットを管理したり、DePINアプリ(Hivemapperのマッピング、Heliumのホットスポット管理など)を動かせる。
- センサー:
- GPS、カメラ、加速度センサー、マイクなどを内蔵。DePINプロジェクトはこれらを活用してリアルタイムデータ(位置情報、映像、環境データ)を収集。
- 例:Hivemapperはスマートフォンのカメラで道路映像を収集し、分散型地図を構築。
- DePINへの影響:
- 高性能デバイスが個人に広く普及したことで、誰でも簡単にDePINネットワークに「リソース提供者」として参加可能に。
- 以前は専用ハードウェア(例:サーバー、IoTデバイス)が必要だったタスクが、スマートフォンだけで実行できる。
2. 常時接続性
- インターネットアクセス:
- スマートフォンは4G/5GやWi-Fiで常時接続が可能。DePINはリアルタイムでのデータ共有やトランザクション処理を必要とするため、モバイルネットワークの普及が不可欠。
- 例:Heliumのホットスポットはスマートフォン経由で設定・管理され、ネットワークカバレッジを提供。
- DePINへの影響:
- 個人はどこにいてもDePINネットワークに参加でき、都市部から地方までカバレッジが拡大。
- 例:UberのようなライドシェアのDePIN版(Teleportなど)は、スマートフォンのGPSと接続性で運転手と乗客をマッチング。
3. ユーザーインターフェースの簡便さ
- アプリエコシステム:
- スマートフォンのアプリストア(iOS、Android)は、DePINプロジェクトがユーザーにリーチするためのプラットフォームを提供。
- 例:peaqのエコシステムでは、スマートフォンアプリで車両データやトークン報酬を管理可能。
- ウォレットとUX:
- 暗号資産ウォレット(MetaMask、Trust Walletなど)はスマートフォンで簡単に操作でき、トークン送受信やスマートコントラクトとの対話が身近に。
- DePINへの影響:
- スマートフォンの直感的なUI/UXにより、ブロックチェーンやDePINの技術的ハードルが低下。
- 非技術者でもDePINプロジェクトに参加しやすく、ユーザー基盤が拡大。
4. 個人によるリソース提供の容易さ
- 物理インフラの提供:
- スマートフォン自体がDePINの「物理インフラ」として機能。例:
- ストレージ: 余剰ストレージを提供(Filecoinのモバイル版など)。
- 通信: Wi-Fiやモバイルデータを共有(Helium Mobile)。
- データ収集: カメラやGPSで環境データを取得(Hivemapper、peaqのセンサー連携)。
- スマートフォン自体がDePINの「物理インフラ」として機能。例:
- 低コスト参入:
- スマートフォンは既に多くの人が所有しており、追加のハードウェア投資が不要。
- 例:Heliumのホットスポットは専用デバイスが必要だが、スマートフォンアプリで管理可能。
- DePINへの影響:
- 個人参加の敷居が下がり、ネットワークのスケーラビリティが向上。
- DePINの「分散化」の理念(誰もがリソースを提供可能)に合致。
おわりに
本記事がどなたかの参考になれば幸いです。
今回は以上となります。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました!
それではまた〜✧٩(ˊωˋ*)و✧
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